4回目の緊急事態宣言という悲劇の考察

本当に嫌な気分になっている。

なぜ緊急事態宣言を発出するのか。感染者数は低位で推移しているし、ワクチン接種は進んでいるし、そもそも日本は死者数が欧米と比べて圧倒的に低いのに、なぜ感染拡大防止だけを狙って緊急事態宣言を連発するのか。

私のTwitterのタイムライン上では怒り満載のTWが飛び交っているし、分科会とマスコミが世論を煽っている姿と、軍部とマスコミが世論を煽って戦争に突入した姿をダブらせている人もいる。

戦前の姿と今の姿がダブって見えるのは私も同じである。ただ、その人たちとは少し違う視点で「ダブって見えている」ので、頭の整理がてらその視点を書いてみたい。

まず、戦争突入時の指導者で、アメリカに勝てると思っていた指導者はいなかった。しかし、アメリカが中国からの撤兵を条件としていた以上、戦争を回避するには中国からの撤兵が必要であり、それは満州事変から積み上げてきた努力を水の泡にすることだと思われていた。この点は特に陸軍が強く認識しており、陸軍は中国からの撤兵は断固反対の姿勢を貫いていた。

一方、対米戦で主役になる海軍は、「やれといわれれば暴れてみせますが」と言いつつも勝てるとは明言せず、さりとてアメリカには勝てないので対米戦は回避すべきとは言わず、時には下駄を預けるような主張もして自ら矢面に立とうとはしなかった。

つまり、陸海軍にとって、単独で対米戦回避という決定はできない状況であり、さりとて、他の大臣が陸海軍を説得できるわけでもなかった。当時の内閣は大臣が1人でも反対すると意思決定ができなかったことから、対米戦回避という国家レベルでの決定はできない状況にあった。

それに対し、アメリカと戦争するという決定については、このまま臥薪嘗胆していても石油が無くなってジリ貧になり、結局戦わずして敗北すると思われている中では、全員が賛成し得る選択肢となってしまっていた。

これを現在の状況に当てはめてみると、これまで散々感染拡大防止を訴えてきた厚生労働省と分科会にとって、「これからは『Withコロナ』に切り替えて重傷者と死亡者の抑制に舵を切ります」と主張することは自己否定に等しい以上、自ら主張できるものではないだろう。

厚生労働省以外の各省にとっても、厚労省を抑え込んで Withコロナに舵を切って責任を負う気概は無いし、そもそも Withコロナのために予算も人も確保している状況である以上、自ら矢面に立てる訳が無いという情けない立場に追い込まれている。

よって、引き続き感染拡大防止に全力で取り組むという決定だけが「全員が賛成し得る」ものになってしまい、誰も合理的な理由を説明できない緊急事態宣言が発出されるという悲劇が生まれているのだと思う。

もちろん、国会が政府と異なる判断をして世論をリードすることも制度上は可能であるが、日本の国会にそれを期待するのは、北朝鮮に「今すぐ拉致被害者を全員帰還させて巨額の賠償金を払わせる」ぐらい無理な話である。

かくして、一個人ではどうにもできない状況が続くという不条理極まりない状況であるが、本当にどうしたら良いのか分からない。考え続けることを放棄してはいけない、ということ以外本当に分からない。

オチも何もないが、とりあえず記事は打ち切るとする。